excitemusic

北海道の詩や詩人に関するメモランダム
by wakamiya1998
ICELANDia
カテゴリ
全体
詩集
詩人
詩誌
詩作品
海のアンソロジー
詩のイベント
その他
未分類
以前の記事
お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
初夏
from magnoria
ライフログ
検索
タグ
人気ジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


カテゴリ:詩作品( 11 )

キャリーケースに詰めこんで

娘が朝からバタバタしている
いや バタバタ バタバタしている
ローティーンの人生は忙しいのだ
くたびれたオジサンの三倍くらい

娘は修学旅行の準備に忙しい
どうでもいいものを詰めこんでいるが
肝心なものが足りないような気がする
人生の転機でも取捨選択には難しいものだ

そういえば若かりしわたしは
石ころや貝がらばかりを詰めこんで
ガラクタ混じりの人生を送ってきたが
石や貝にはヒトのように嘘はない

自分のお気に入りを詰めこんで
友だちと楽しく行ってらっしゃい
旅行にも人生にも 他人にも自分にも
それほど期待はしないことだ

ガラクタのようなものが宝もので
宝ものがガラクタかもしれない
だから時間を信じることだ
時間だけには期待してもいい

君がキャリーケースに詰めこんだもの
君には宝もので先生にはガラクタだが
わたしには夢のカケラひとつひとつに見える
では楽しい小旅行へ
ボンボヤージュ

2010年6月12日 ー長女の誕生日にー


c0186871_19564575.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2010-06-12 19:57 | 詩作品

変なオジサンを笑うな

子どもや若者は減っているが
巷には珍妙なものがあふれている
外来種とか温暖種とか遺存種とか
でも変なオジサンを笑うな

満員電車の中で眠りこけたり
地下鉄の階段でよろけたり
ホームで大くしゃみをしたりと
あちこちでオジサンは忙しい

時にはハゲていたり
時には前歯が欠けていたり
時にはカレー臭がしたりと
あちこちでオジサンは嫌われる

そんなくたびれたオジサンも
けっこう誠実な夫であり
以外と優しい息子であり
娘に大甘の父であったりする

ちょうど人生の折り返し地点を過ぎ
あとは下ってゆくだけだが
いろんなものを背負っているので
唸りながら下っているのだ

あそこのネズミ男みたいなオジサンも
そっちの海坊主みたいなオジサンも
向こうの蛸入道みたいなオジサンも
家ではたぶん優しいパパなのだ

だからオジサンを無視してはいけない
すぐにオジサンにムカツいてはいけない
もちろんオジサンをコバカにしてはいけない
変なオジサンを笑うな!

(でもあまりに珍妙だったらって?
 うーん!その場合は適度な距離で
 オジサンをかわしてゆきなさい
 これは大人の知恵だよね!)

2009年6月12日 ー長女の誕生日にー


c0186871_10124091.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2010-05-10 10:13 | 詩作品

無煙浜

時間が闇を切り裂き
淡々と削ってゆく
ここは現世の浸食海岸

過去を削り
現在を削り
さらに未来を削り倒す

打ち寄せしぶく波
はためき続ける風
砂は真一文字に飛ぶ

自らの意思とは別個に
寄り物は流れ着く
南から 北から 天上から

夢語りが消えたとき
寄り物は動きを止め
海の瀬へと打ち上がる

対馬暖流が洗う日本海の
その横顔のちょっとした凹部
ゾウやシカやウマの死体が埋る浜

無煙浜にたどり着くものは
時間と空間をひとしきりさ迷って
天上と下界からうち捨てられたもの
ヒトのような言葉のような俗物!

c0186871_159422.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2010-04-07 15:10 | 詩作品

アイの風

雪の多い街から風の強い街に来た
そんなふうに娘はつぶやいた
内陸から沿岸へと変るわけだから
風も心も少しは変わるのさ

制服というのはかた苦しいな
中学はこうやって縛ってゆくの
勉強は嫌いじゃないけど
塾には絶対行きたくないよ
教科が違うと先生は色々だね
でも変わり者が多い気がするけど

小さい頃は甘えっ子だったのに
最近はハッキリしているな
〈ナットー姫〉と呼んで
納豆を遊び食いしていたのにさ

ちょっとそれ三歳の頃でしょ!
わたしもう十三歳なんだけど
それからわたしのことあまり詩に書かないで!
ポエムってちょっとワケわかんないから

お笑い番組にバカ笑いして
単語カードを必死で作って
友だちにイラスト入りFAXを送って
小さなミシンでデジカメケースを作って
社会の添削課題に四苦八苦して
また友だちと電話でバカ笑いしている


さわやかな晴れの日には
制服の紅いリボンを飛ばされないように
風がさわぐ雨の日には
傘の骨を折らないように
紺のスカートをなびかせながら
のんびり学校に行きなさい

向い風は少々しんどいけど
海からやってくるアイの風
そして君の名前のように
明日の香りを運ぶ風
ローティーンにはいつも未来から
素敵な風が吹いて来るんだよ

二〇〇八年六月十二日 ー長女の誕生日にー

c0186871_156779.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2010-04-07 15:06 | 詩作品

Argonauta—漂流者


東シナ海の潮境で小さな光を見た
それはすべて黄水晶の粒であった
光の襞を幾重にも幾重にも束ね
一千万年の眠りについていたのだ

ギリシアの王子イアソンは船旅に出た
船大工アルゴスの造った巨大船に乗り
勇士ヘラクレスと名医アスクレピオスを従え
〈黄金の羊毛〉を求め大洋をさ迷い続ける

ふと長い夢からさめると
ここは〈黄金の国〉ジパング
ユーラシアの東縁まで流されたのか

対馬暖流のゆりかごから離れ
北西の〈アイノカゼ〉にもまれ
エゾ・イシカリペツの砂丘へ漂着

c0186871_14582926.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2009-04-03 14:30 | 詩作品

Nautilus—水夫


海溝のよどみで鳴いた一声が
表層のあなたに聞こえたのか
水圧に消された螺旋の譜面を
どんなソナーで読み取るのか

わたしの始まりはジュラの渚
ほんの二億年をたゆたい
カルシウムの迷宮を背負い
あらゆる海の世俗を捨ててきた

聖なる黒潮の流れを紡ぎ
秒速五ノットでのクロールで
熱い潮を突っ切ってきた

もうろうたる台風の渦から
さらなる厳しい渦潮を浴び
南国・阿波の白砂へと難破

c0186871_14595822.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2009-04-03 14:29 | 詩作品

石暦:4月


 4月ーダイヤモンド

  (一番硬いものを一番信じてみたいから・・・・・)

はるかな大星雲の縁にきらめく
氷の小惑星の破片が
透明な君の言葉であってほしいのだ

時間軸の極大と空間軸の極小に
交差して輝き続ける口許には
冬の帝国を溶かす
ブリリアントの微笑がある


c0186871_14243450.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2009-04-03 14:23 | 詩作品

石暦:3月


3月ーブラッドストン

最後はやはりこうなるんだな
凍裂から秘やかにやってきた
外ウラルの女よ

おまえの鉱脈には
もう変成作用のおもかげはない
マグマの底で
血を吐きちらかして
混成岩へと眠ってしまえ!

c0186871_8415024.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2009-03-02 08:42 | 詩作品

石暦:1月


1月ーガーネット

割れた柘榴からのぞく
密通の妖光こそが
地底から届けられた
生来の視線だ

背中を溶かす一条の愛撫に
花崗岩の肩は膿み
ぽっかりあいた晶洞に
菱面体の花が咲く


c0186871_9295353.jpg

[PR]
by wakamiya1998 | 2009-01-06 09:30 | 詩作品

空のdestiny


誰も見たことにない空を
風のナイフで切り裂いて
未知の気圏をのぞいてみたい

そこではどんな運命が
淡いとぐろを巻いて
含み笑いをしているのか

おそるおそるすき間をのぞくと
同じようにおびえた眼が
あちら側にもふたつ

見知らぬ空も
未知の気圏も
もんどりうった蛇の
表と裏・・・・・

思い詰めた雲は
半透明のしずくをそっと流すのです
北北西の烈風が
絆すべてを絶ち切らないようにと

c0186871_919468.jpg

(Italia, Florence, 2004.8.26)
[PR]
by wakamiya1998 | 2009-01-06 09:23 | 詩作品